北京留学あれこれ日記

~旅好き女子が中国に留学してみた話と帰国後のこと~

存在を消されたモスク【ウルムチ】

こんにちは、ハルです。

 

新疆ウイグル自治区のウルムチで、「地図に載っていないモスク」を発見しました。

 

 

その美しいモスクは、ウルムチの中心部に程近い友好南路という通りにあった。

私は街を散策している途中、偶然その前を通りかかり、思わず足を止めた。

 

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そこは私が宿泊していた麦田国際青年旅舎というゲストハウスや、日本人ツアー客も多く泊まる南航明珠国際酒店というホテルからも徒歩圏内。周りには飲食店や雑貨屋が立ち並び、比較的賑やかな通りだ。

 

ニュース記事で見た情報や新疆の情勢を考えると礼拝はやっていないだろうと思ったが、中を見学することができたらと思い、入り口にいたおじさんに声をかけた。ウイグル族だが中国語(普通話)が話せる人だった。

 

私「中を見学することはできますか?」

おじさん「今は入れないよ」

おじさんは困ったような笑顔で答えてくれた。

 

私「私はイスラム教徒じゃないけど、このモスクすごく綺麗だと思って。観光客は入れないですか?」

おじさん「今は礼拝の時間じゃないから。ごめんね」

 

…ん?礼拝?

ウルムチでは礼拝は禁止されているんじゃないの?(ネットの記事で読んでいた)

そう思いつつも入れないと分かり、私はもやもやしながらその場を離れて宿へ向かった。

 

歩きながらモスクの名前だけでも知りたいと思い、百度地图(中国の地図アプリ)を開いた。

しかし、画面上で通ってきた道をどんなに拡大しても、そのモスクは出てこない。

 

あれ、おかしい。

 

私は来た道を戻った。まださっきのおじさんがいた。

 

おじさん「どうしたんだい?」

私「このモスク、なんていう名前ですか?気になって戻ってきました。」

おじさん「西大橋南清真寺だよ。」

私「そうですか。地図で見ても載っていないので…なぜでしょう?」

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モスクの前で撮ったスマホのスクリーンショット。地図上の青い現在地の場所にありました。

おじさんが教えてくれたモスクの名前で検索しても、別のモスクしか出てきません。

 

私「なぜ地図に載っていないんですか?」

おじさん「うーん分からないなあ…」

おじさんはまた困った顔をしていました。

 

私「あの、さっき言っていた礼拝は何時からですか?」

おじさん「2時間後だよ」

私「…そうですか。ラッフマットゥ(ウイグル語でありがとう)」

 

 

地図に載っていないイスラム教モスク。

それはまるで、意図的に存在を消されてしまったかのようだった。

 

おじさんは2時間後に礼拝があると言った。

2時間粘って確かめることはできなかったけど…それは嘘かもしれない。

 

それが嘘だとして、おじさんがなぜ嘘を言ったのか。自分の意思で言ったのか、そう言うしかなかったのか、それとももっと別の理由があるのか…。

 

どんな理由だったとしても、それが嘘でも本当でも、おじさんの目はすごく優しかったし、観光で訪れた外国人の私に嫌な顔一つしなかった。

私はもやもやしながらもこれ以上聞いてはいけないと思い、モスクを後にした。

掲げられた真っ赤な中国国旗がなびいていた。

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実際にウルムチを訪れても、ウルムチで、新疆で、何が起こっているのか、どんなことが隠されているのか、私には分からなかった。

 

ただ、そこで出会った人々は民族を問わず皆んな、「どこから来たの?」「日本人か。日本好きだよ」「中国語上手だね」

 

そんな風に話してくれた。一人旅の外国人である私に優しく親切にしてくれた。

その事実は変わらない。

 

私は新疆という地では外国人で、余所者で、部外者だ。でも、だからこそ、そこで生きる人たちの温かさに触れることができたのかもしれない。

 

皆んなが幸せに暮らせたらいいのにと願わずにはいられなかった。